猫とうさぎとアリスと女王
 やっとの思いで竹下通りを下り、Innocent Worldのあるビルへと入りました。

Innocent Worldのお店の内装は非常にクラシカルで上品。
BABY,THE STARS SHINE BRIGHTが色とりどりのフルーツキャンディ、もしくは老舗の洋菓子店ラデュレの色とりどりのお菓子ならば、Innocent Worldは上品で甘いチョコレートといったところでしょうか。
甘いけれど、どこか上品なお菓子なのです。

私はその中でお目当てのボンネットを見つけました。


「シーナ!見てください。私このボンネットがずっと欲しかったの!」


店内には数人のお客様と店員さん。

シーナの前でオフホワイトのボンネットを頭に当ててみせました。
すると店員さんが

「よろしかったらお鏡の前で合わせてみてくださいね。」

とおっしゃってくださいました。


「つけてみてよ。」


シーナがそう言ってくれたので、私はミニハットを取りボンネットをつけました。

鏡を見てみると・・・やっぱり私の目に狂いはわりませんでした!
つばが固いボンネットは想像以上に可愛らしく、それでいて上品。


「似合いますか?」


私が心を躍らせてシーナに尋ねると、シーナは気難しい顔をして言います。


「その色を買うの?」


シーナの返答は私が想像したものと違いました。

きっとシーナならば“可愛い”と言ってくれると思っていましたから。


「・・・ええ。だって私の持っているお洋服は、ほとんどがオフホワイトかピンクですもの。それか生成。
なのでオフホワイトと生成を購入しようと思っていますけれど・・・。」

「僕、茶色の方が可愛いと思うよ。」


シーナの言葉に私は不意を突かれました。

そんなことを言うなどとは想像もしなかったからです。
< 110 / 281 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop