猫とうさぎとアリスと女王
 途中立ち寄った私の家にInnocent Worldで購入したお洋服を置き、お車はシーナの家へと進路を進めました。

シーナの家はとても大きく、モダンな外装で他の家とは違う雰囲気を醸し出していました。
さすがご両親がデザイナーなだけあります。

家の中に入ると女中の方が私とシーナを出迎えてくれました。


「お帰りなさいませ。」


そう言ってシーナの荷物を預かります。


「マコ、取り敢えず部屋に行っていい?ちょっと着替えたいから。」


私は頷きました。

そして歩みを進めようとすると、女中さんがシーナを止めます。


「あ、先程お手紙が届きましたのでお部屋に置いておきました。」

「誰から?」

「それは見ていませんので分かりかねますが・・・。」

「そう、ありがとう。」


そう言ってシーナは部屋へと案内してくれました。

シーナの部屋は二階の奥の部屋で、随分とスッキリとしてシンプルなお部屋でした。
無駄な物が一切無い、そんなお部屋。


「御免ね、何も無い部屋で。今はほとんど離れにいるから。
そっちで絵を描いたりするんだけど、最近は食事も睡眠もそこでとったりしててさ。」


そう言うとシーナは机の上にあった手紙を手に取りました。
おそらく先程、女中さんがおっしゃっていた物でしょう。

けれどその手紙を手に取った瞬間、シーナの表情が一変しました。


「嘘・・・。マコ、見て!タケからだ!」


“タケ”という名前を聞いてすぐに分かりました。

その名は、かつてシーナと付き合っていた男性の名前に違いありません。


だって今のシーナ、私が見たことも無いような顔をしているんですもの。

凄く嬉しそう・・・。


シーナの心とは裏腹に、私の心にも表情にも曇りが差しました。
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