猫とうさぎとアリスと女王
 華道室の入り口で待っていると、丁度イオが出てきました。


「マコ、ごめんなさい。
私ちょっと先生に用事があるから少し待っててくれるかしら?
中で座ってていいから。すぐ戻るわ。」


そう言ってイオは忙しそうに出て行きました。


華道室には畳が敷いてあり、茶道室と隣合っています。

境目には襖があり、それを開くと大きなお茶室になるようにできているのです。


外からは野球部員の大きな声。
鳥の鳴く声。
自動車が通る音。


すると華道室のドアが開きました。

私は待ちきれずに立ち上がり、ドアの傍へと駆け寄ります。


「イオ、少々遅くありませんこと?」



顔を上げた私の目に飛び込んできたのは、






そう、








紛れも無く貴方でした。













私の王子様。
< 13 / 281 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop