猫とうさぎとアリスと女王
 「イオは知ってんだろ?そのこと。」

「ええ。」


私には初めてできた普通の友達は、イオだけでした。
なのでイオには全て話してあります。

家のこと、私の過去のこと、今の私に至るまでの過程。

イオのご両親もそれを知っていて私によくしてくれているのです。
それは私の心の支えでした。


「シーナには言わないのか?」

「・・・言えません。」


いくらシーナでも・・・否、シーナだからこそ言えないのです。

言ったら絶対に軽蔑されます。
嫌われるのは嫌ですもの・・・。


「でも俺とイオは知ってんだから、シーナだけ知らないのは酷だろ。
あいつがまた泣くぞ?それでもいいのかよ。」


シーナの涙は、もう見たくはありません。

やっとシーナの気持ちに整理が付いた所だというのに・・・。
今度は私のせいで涙を流させてしまう?

そんなのは絶対に嫌です。

けれど・・・やはり無理。言えません。


「まあ、じっくり考えてみろよ。難だったら俺が言ってやるから。」


するとサボは携帯電話をポケットから出し、時刻を確認していました。


「もうこんな時間かよ。じゃあ俺抜けるから。」

「どこか行くところがあるんですか?」


するとサボは面倒臭そうに頭をかき、私にこたえます。


「大した用じゃ無えよ。」

「だったら言ってください。」


サボは舌打をしてから小さな声で言いました。




「墓参りだよ。今日・・・母親の命日なんだ。」
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