猫とうさぎとアリスと女王
 西武池袋線高麗駅から徒歩十分。
日高市内に流れる高麗川沿いに、たくさんの彼岸花が咲く場所があるとお母様は教えてくださいました。

その地形が巾着に似ていることから、そこは巾着田と呼ばれているそうです。

そこは日本の数少ない彼岸花、別名:曼珠沙華の群生地。
おそらくサボのお母様もここには来た事があるのでは無いでしょうか。



私は運転手さんに車を飛ばしてもらい、そこへと一直線に向かいました。

もうすでに日は傾いています。


私は車を降りて川沿いを走りました。
もしもサボがいなかったら・・・という思いが胸を過ぎりましたが、ここにいるという確信がなんとなくあったのです。

サボはここにいるのだと。




 真っ赤に咲き誇る彼岸花。

私はその中を必死で探し回りました。



大分歩いた所でしょうか。
一ヶ所だけ花が咲いていない場所がありました。

周りには彼岸花がたくさん咲いているのに、そこだけぽっかりと穴が空いたようになっているのです。


私はそこに歩みを進めます。



「見つけた。」




覗き込んでみれば、そこには小さく蹲ったサボがいました。



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