猫とうさぎとアリスと女王
 一瞬、何が起きたか把握できませんでした。

シーナは感情のままに行動することなど滅多に無いからです。
ましてや掴みかかるなど以ての外。

私とイオはただただ口を開けたまま、その様子を傍観することしかできませんでした。


するとシーナはサボの顔面を、拳で殴りつけます。


私とイオが絶句していると、サボがシーナを睨みつけました。


「サボの馬鹿っ!!!
どれだけ心配させれば済むんだよ!!!
僕もマコもイオも心配してずっと探してたんだぞ!?

なのにクスリに溺れて眠ってたってどういうことだよ!
ドラッグはもうやめるって約束したじゃないか!!!あれは嘘だったのかよ!!!

だいたいサボはさ、ずるいんだよ・・・。
逃げてばっかりで。

僕には立ち向かえって言っときながら、なんだよそれ・・・。
意味、わかんないよ・・・。


本当は医者にだってなりたいんだろ!?
なのに全部親のせいにして!おばさんが死んだせいにして!なんだよそれ!!!」


シーナはそれだけ言うと顔を伏せました。

微かに見えたのは、歯をきつく食いしばり何かに耐えるような表情。


「もういいよ・・・サボ。勝手にしなよ。」


シーナは脱力し、病室から出て行きました。


サボはうな垂れたままベッドにもたれています。



部屋の中に、重い沈黙が流れました。
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