猫とうさぎとアリスと女王
 「ちょっと、付き合ってくれよ。」


サボは一言そう言いました。

少し声のトーンが下がっているのがわかりましたが、今日は今すぐにでもお買い物に行きたい気分。
なのでそれはお断りすることに致しませう。

本音を言うと、サボと顔を合わせるのが気まずいのです。


「今日はお買い物に出かけますので無理です。
ごめんあそばせ。」


私は罪悪感を断ち切るように電話を切りました。

そうして玄関を出て、ドアに鍵をかけた瞬間に誰かに腕を引かれました。


腕を引っ張るのはそう、サボでした。


「ちょっと!サボ!何故ここにいるんです!?」


私は驚きながらもサボに問いかけます。

サボは無言で私の腕を引き、ずいずいとお構い無しに歩いていきます。


「わかりましたから!付き合いますから!
だから腕を放してくださいな!痛いですわ!!!」


するとサボは足を止め、私の顔を見ました。


「本当だな?」


私は無言で何度も頷きます。

するとサボは腕を解放してくださいました。
手首がひりひりと痛みます。


するとサボはまた歩き出しました。

別に私が一緒に行かなくてもよろしいんではなくって?
ほんの少し疑問に思いましたが、私はサボの背中を追いかけました。


「どこへ行くのですか?ねえ、サボ。教えてくださいまし。」


サボはそんな問いかけも無視。


真っ直ぐ前を向いてひたすら歩き続けます。

その顔は何か重大な覚悟をしているように見えました。
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