猫とうさぎとアリスと女王
 台所のお鍋の中に余っていたポトフを温め、乾いたお洋服をお風呂場の目に付きやすい所に置いておきました。

ポトフを器に盛り付けているとサボがお風呂から上がってきました。


「うおっ!うまそう!」


テーブルの上の質素な食事に目を輝かせるサボ。


「召し上がって下さい。お腹が空いてらっしゃると思って。」

「めちゃくちゃ腹減ってたんだよ!お前意外と気が利くよな。」


意外という言葉が引っかかりましたが、気にしないことにしましょう。

私は多めに盛ったライスと飲み物をポトフの横に置きました。

サボはそれをガツガツと食べています。
そんなにお腹が減っているのかしら?

それより私はサボのことが不思議で仕方がありません。


我が校は幼稚舎、小、中、高、大学と全てエスカレーター式の超有名私立校。

入学する為の資格は特にありませんが、入学金、授業料、その他雑費が多大にかかるのです。
その上ある程度の寄付金を学校側に支払わないと、良い待遇は望めないのです。

つまりお金持ちしか入れないということ。

なのにサボはお腹は空かしているし、先程のシーナの言葉によれば家のガスも水道も止められてしまったとか。


我が校に通う生徒がこのような生活をしているのは信じがたい事実。


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