猫とうさぎとアリスと女王
 私が生まれたのは元貴族の気品溢れる家系で、私は毎日優雅で何不自由ない生活を日々送っていました。


・・・というのは全て嘘です。
紛れもない大嘘。





 私の本名は鳳真琴。

家族構成はお父様とお母様と私の三人。
私は鳳の家の一人娘として、まるで箱に入れられたように大切に育てられました。

お父様は最初、跡取りとして息子を望んでいたようです。
なので諦めの悪いお父様は娘が生まれたというのに、“真琴”という男の子のような名前を命名したのでした。


しかし後にお父様は私に言いました。



「娘も、悪くはない・・・。」と。



お父様の過保護振りは周囲の人間が目を丸くするほどのもので、私はその愛情が嬉しくもうっとおしくもありました。




実は、私が生まれる少し前にはお爺様も元気に生きていたのです。
孫の顔が見れると喜んでいたのだとか。


けれどお爺様は対立していた組の人間に暗殺され死亡。


その後を若頭であったお父様が組長の座を貰い受けたのです。





そう、私が生まれたのは名高い極道の家系。

組の名前は鳳組。



その組を統一する組長・鳳慶吾の一人娘なのです。
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