猫とうさぎとアリスと女王
 生まれた頃から、家には多くの舎弟さんが出入りをしていました。
つまりお父様の部下の方々です。

鳳組は勢力も大きく、警察に頭を下げさせることさえできる程でした。


そんな組織に生まれた一人娘ですから、お父様は警備を万全にいたしました。

幼稚園に行くときは車で送迎は勿論、ボディガードとして舎弟の方が何人もついてきました。
逆にこちらのほうが目立つのでは?とは思いましたが口には出しませんでした。



舎弟の方は皆強面で近寄りがたい方ばかりでしたが、話してみると優しい人ばかり。
一緒に遊んでもらうこともしばしありました。

こんな私ですから、お友達などできないのです。

明らかに幼稚園では浮いている存在でしたし、舎弟の方が怖くて近寄れない子どもが多かったのです。



幼稚園は一流の所へ通いましたが、小学校は人里離れた長閑な所へ転校。
これは私の意志でもありました。

小学校低学年までは舎弟の方をつけていましたが、流石に高学年になると私も嫌気が差します。


なのでお父様に言って一人で行動させていただくことにしました。




そしてその頃、私は頻繁に裏新宿に出向くようになります。

今の私からは想像できないかもしれませんが、当時はかなり喧嘩が強かったのです。
なので路地裏などで売られた喧嘩を買っては倒し、ちぎっては投げ、ちぎっては投げの連続。

私の名前はあっという間に若者のギャングの中で有名になってしまったのです。




そしてトラに出会ったのも、丁度この頃でした。
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