猫とうさぎとアリスと女王
 シーナの体温。
シーナの匂い。
シーナの背中。

全部、全部、大好きです。


「僕がフランスに行くまで、みんなでいっぱい遊ぼうね。」


シーナは小さくそう呟きました。


「行ったこと無いとことかいっぱい行こうね。」


まるで子どものようなシーナに、私はついつい笑ってしまいました。


「ええ。何処へでも行きますわ。
シーナの行きたい所に、みんなで行きましょうね。

思い出を、たくさん作りましょう。」


「うん。」





月明かりの中、シーナの腕の中、私はゆっくりと目を瞑りました。


ついこの間まで赤の他人だったシーナとサボ。
私の人生は二人のお陰で大きく狂いました。

平凡な人生の歯車を狂わせてくれたのです。



シーナが旅立つ日まで、あと約二ヶ月。


たくさんの思い出で溢れ出させましょう。
フランスへなど持っていけないほどの思い出でいっぱいにしましょう。



貴方が一人になっても寂しくないように。


私が一人になっても貴方を思い出せるように。


離れ離れになっても、互いに想いあえるように。





私たちの絆を、深く、強くいたしましょう。
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