猫とうさぎとアリスと女王
 学校へ行く前に必ずする儀式のようなものが私にはあります。


髪を二つに結い、大きめの白いリボンをつけ、ゆるめにアイロンで巻いた後に、私はドレッサーから離れます。

そして机上に飾られた写真立てを手に取るのです。


「行って参ります、王子様。」


写真立てに飾られているのはある男性の写真。

私の大好きな王子様。

フランスの俳優のギャスパー・ウリエル様、その人なのです。


ある日雨宿りの為だけに入った映画館で、私は彼に救われ、それと同時に恋をしてしまいました。

美しい顔立ち、真っ白な肌、容姿だけでなく実力も備わった彼はまさに王子様。

ギャスパー・ウリエル様に朝のご挨拶をするのが日課なのです。

馬鹿だと思われようが、現実逃避をしていると言われ様が結構。

私は恋ができない人間なのですから。


そもそもロリータという生き物は王子様にしか恋をしない生き物でしょう?

男の子なんて大嫌い。

とにかく私には必要ないのです。

ギャスパー・ウリエル様だけいれば満足。

何もいらないのです。
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