猫とうさぎとアリスと女王
 図書室の一番奥の机に座り、空を見つめるイオ。


「それで、無意識に告白してしまったって訳?」


私は頷きました。
そして机に突っ伏します。

もう、椅子に座っているのすら辛い・・・。
出るのはため息ばかり。


「相変わらずドジね。でも、マコらしいと言えばマコらしいけど。」


イオは少し笑って言いました。

ドジどころじゃありません。
私は大馬鹿です。
救いようの無い駄目人間なのです。


「でもよかったじゃない。」


私はその言葉に反応し、突っ伏していた顔を上げます。


「シーナは根っからの同性愛者では無いんでしょう?
女性を好きだったこともあるんだから、マコにも可能性はある訳じゃない。」

「そうですけれど・・・。」



けれど私は少なからず戸惑っていました。

シーナが同性愛者であることもその一つですが、同性愛者のシーナを愛してしまったことに一番の戸惑いを感じていたのです。


私は一体どうしたらいいのかわかりません。

もしシーナが完璧に男性しか愛せない人であったならばすぐに諦めはつくのですが、同性愛者かどうか、本人ですらはっきりとわかっていないのです。

しかし既に後には引けません。
だってシーナを嫌いになることなど、不可能なのですから。


私はシーナに恋心を抱くのは止めた方がいいのでしょうか?

もし私の恋心がシーナの苦痛になっていたとしたら・・・。



ああ、まるで心に深い傷を負ったようです。
止血帯など見つからない。

これが恋というものなのでしょうか。



私にはわかりませんでした。

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