猫とうさぎとアリスと女王
 あれからシーナとは一度も会っていません。
会話などもっての他。

私が避けているのだと思います。

もう、前のように楽しく時間を共有することなど不可能なのでしょうか。



何度も何度も自問自答し、授業はほとんど出席していません。
例え出席したとしても上の空。

ノートは以前にも増して真っ白。


授業に出席しない日は、ほとんど図書室で時間を過ごしています。
一番奥でひっそりと座っていれば、誰も気付きません。

授業中ならば真面目な図書委員さんはいませんし、見回りの先生もちらりと覗いていくだけ。



この日もいつもと同じようにぼんやりとしていると、ふとあることが頭に浮かびました。

以前シーナと一緒に行ったベランダへと続くドアのことです。
私はドアの前へと行きました。


一体何をしているのか、何をしようとしているのわかりません。


だってこのドアは、鍵が無ければ開くことは無いのですから・・・。

あの、シーナが持っていた魔法の鍵。
もう忘れてしまったかしら。

私とここへ来たこと。
初めてここで話したこと。

ねえ、シーナ?覚えていますか?



なんだか涙腺がゆるくなり、視界が滲んできました。

私が絶望感と共にドアノブに手をかけると、なんとドアが開いたのです。


「まさか・・・シーナ?」


私はドアを開きました。
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