猫とうさぎとアリスと女王
 「うおっ!!!」


ベランダにいた人間と目が合いました。
相手は目を見開いてこちらを凝視しています。


「なあんだ・・・。サボですか。」

「びっっっくりしたじゃねえかよ、馬鹿!いきなり入って来んな!」


するとサボは何かをポケットに隠しました。


「お馬鹿さんに馬鹿呼ばわりされたくありませんわ。」

「相変わらず口が減らねえな。」

「それはお互い様です。ところで、何を隠したんですか?」


ポケットを覗き込もうとすると、サボは隠すように私に背を向けます。


「煙草だよ。」

「本当?」

「ホントー。」


私は適当な相槌を打ち、サボの隣に座りました。

そう言えばサボとも前に話したとき以来、会っていませんでした。


「お前、シーナにゲイかどうか聞いたんだってな。」


サボはニヤニヤと笑いながら聞きました。

まるで私が悩んでいるのを見て楽しんでるよう。
全く悪趣味な人間です。


「ええ。聞きましたけれど、それが何か?」


私はわざと気丈に振舞いました。

だって、サボに弱みを握られるのは嫌なんですもの。


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