猫とうさぎとアリスと女王
 そんな毎日が続き、私の生活は充実したものへと変わっていきました。

サボは相変わらず私をからかいますし、イオはそれを見て笑います。
シーナはいつも微笑んで、私と目が合うと柔らかな表情でこたえてくれます。



学校が終わってから家に帰り、のんびりとBABY,THE STARS SHINE BRIGHTのカタログに目を通していました。
今回の新作はどれも可愛いものばかり!

けれどスカラップのスカートがずっと欲しかったのですよね。
今回はスカラップのデザインの物はありません。

それから、ボンネットもずっと欲しいと思っていたのです。
しかしBABYのボンネットは、ひさしが柔らかい物ばかり。

私の求めるボンネットはひさしが固いタイプの物。
どこかのメゾンで販売していないか探してみようかしら?


そんなことを考えていると、購入したばかりの携帯電話が鳴りました。

ディスプレイを見ると【イオ】と表示されています。
えっと・・・確か通話をする時は、この受話器の上がったマークのボタンだった筈。


「もしもし?」

「マコ!?よかった・・・。今からマコの家に行ってもいいかしら?」

「ええ、いいですけれど・・・。」


急なイオからのお電話。

けれど何やら様子が変です。
何かあったのかしら?


「イオ、どうなさったのですか?」

「今、家に車が来る音がして覗いてみたの。そうしたら・・・懸高おじ様が来たの!
今日は来るだなんて言ってなかったのに・・・。」


すると受話器の向こうで別の人物の声がしました。


「ちょっと、懸高さんがお見えになったからご挨拶なさい。」


それはまさしくイオのお母様の声でした。
これではイオは私の家に来ることはできません。


「マコ・・・助けて・・・。」


その言葉と共に、会話は途切れました。


イオの声は微かではありますが、震えていた気がします。
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