猫とうさぎとアリスと女王
Ⅸ気狂い帽子屋の来訪
しばらくしていつもの落ち着きを取り戻したイオは、ずっと窓の外の流れる景色を見ていました。
私の家に着き地面へ足を下ろします。
「さあイオ、入ってくださいな。」
私が玄関のドアを開けると、イオは暗がりの道路をずっと見つめています。
「イオ?」
「ちょっと待ってて。」
するとイオは突然見ていた方向に走り出し、しばらくして戻ってきました。
後ろにある男性を引き連れて。
「誰かいると思ったら、トラさんだったわ。マコ、家に入れてあげて。」
見覚えのあるその顔。
彼は罰が悪そうにずっと俯いていました。
「トラさんもきっと何かあってここに来たのよ。
ずっと入ろうか迷っていたのだと思うわ。話だけでも聞いてあげて。」
最初は何事かと心配になったものの、そんな感情は一瞬の出来事にすぎませんでした。
彼の姿を見ていると沸々と怒りがこみ上げます。
私は彼とは縁を切りました。
家にも来てはいけないと言いました。
けれどのこのことやって来て、神経を疑います。
「お帰りください。私は貴方とは縁を切った筈です。」
「マコ・・・。」
すると彼は顔をあげます。
「話を聞いてくれるだけでいいんです。お願いします、姐さん。」
その顔は今までに見たことの無い顔でした。
彼との付き合いは長かったのですが、こんな顔は初めて見たような気がします。
「マコ、お願い。」
イオからもそう言われ、私は断るわけにはいかなくなってしまいました。
仕方がありません。
私はため息をつき、二人を中へ促しました。
私の家に着き地面へ足を下ろします。
「さあイオ、入ってくださいな。」
私が玄関のドアを開けると、イオは暗がりの道路をずっと見つめています。
「イオ?」
「ちょっと待ってて。」
するとイオは突然見ていた方向に走り出し、しばらくして戻ってきました。
後ろにある男性を引き連れて。
「誰かいると思ったら、トラさんだったわ。マコ、家に入れてあげて。」
見覚えのあるその顔。
彼は罰が悪そうにずっと俯いていました。
「トラさんもきっと何かあってここに来たのよ。
ずっと入ろうか迷っていたのだと思うわ。話だけでも聞いてあげて。」
最初は何事かと心配になったものの、そんな感情は一瞬の出来事にすぎませんでした。
彼の姿を見ていると沸々と怒りがこみ上げます。
私は彼とは縁を切りました。
家にも来てはいけないと言いました。
けれどのこのことやって来て、神経を疑います。
「お帰りください。私は貴方とは縁を切った筈です。」
「マコ・・・。」
すると彼は顔をあげます。
「話を聞いてくれるだけでいいんです。お願いします、姐さん。」
その顔は今までに見たことの無い顔でした。
彼との付き合いは長かったのですが、こんな顔は初めて見たような気がします。
「マコ、お願い。」
イオからもそう言われ、私は断るわけにはいかなくなってしまいました。
仕方がありません。
私はため息をつき、二人を中へ促しました。