猫とうさぎとアリスと女王
 キキは一つ年下の人懐こい少女でした。

いつも笑顔で皆に気に入られ、愛らしい子でした。
それに私のことをいたく気に入り、いつでも私の傍を歩き、片時も離れることは無かったのを覚えています。

キキの無邪気な笑顔を思い出した瞬間、嫌な予感が頭を過ぎりました。


「キキがその薬にひっかかってるんです。」


やはり・・・。私の予感は的中してしまいました。

キキは純粋であるが故に、実に騙されやすい性格なのです。
私は傍にいたときは必ず“薬物に手を出してはいけない”と言い続けてきました。
それこそしつこいぐらいに。

けれど私がいなくなったと同時に薬物に手を出してしまった。



私は責任を感じました。
過去に下した決断は間違っていたのでしょうか?


「姐さん、戻って来てください。俺も皆もそれを望んでいます。」


トラは泣きそうな顔でそう言いました。

けれど私はもう戻らない。
そう決めたのです。


「私はもう戻らないと約束したはずです。
誰がどうなろうと私の知ったことではありません。だって私と貴方は無関係なのですから。
トラ、全て貴方に任せたはずです。」

冷たい言葉をトラにつきつけるのは胸が痛みました。


人を突き放すというのはいいものではありません。
けれどそうするしか術が無いのです。


非道といわれようが結構。
私は普通のロリヰタ。
何も関係が無いのですから。
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