猫とうさぎとアリスと女王
 「俺は単なる高校生で、イオの友人です。
けれど俺の親父は奏芽佐兵衛。知らないという事は無いですよね。」

「ま、まさか・・・。」


「ご察しのとおり、俺は奏芽総合病院の長男です。
まだ医者では無くとも多少の知識なら頭の中に入ってるんですよ。」



サボの言葉には私も絶句いたしました。

奏芽総合病院と言えばかなり大きな病院で、地位も権力もかなりのものです。
財界の人間や政界で顔が広い人物、それからお忍びで入院する人間などは奏芽総合病院のお世話になると有名です。

それに奏芽佐兵衛氏の名前は私も耳にしたことがあります。

かなりの腕の持ち主の外科医だと称えられ、何人もの難病患者を助けたと聞いたことがあります。
一時ニュースや新聞でも取り上げられていました。


そのご子息があのサボだなんて・・・。
信じられません。


そこへ警察の方々がやって来ました。



「ひとまず言い訳はやめて、警察署まで行ったらどうです?」


そう言い放つサボは、随分と大人びて見えました。
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