猫とうさぎとアリスと女王
 懸高氏は大人しく警察に連行され、イオは無事に病院へと運ばれました。

“やっていない”と懸高氏は言いました。
しかしそれを証明するのは難しいことでしょう。


これは緻密に計画された完全犯罪。

懸高氏の荷物にはシーナが青酸カリとあるデータを忍び込ませました。

データとは懸高氏の脱税、そして裏金の記録。
シーナはそれをかき集めてデータ化。

念のために警察にも届けたそうです。



さて、この計画で一番厄介であったのが青酸カリをどう仕組むかということでした。

もし詳しく調べられてイオから青酸カリの反応が出なければ、懸高氏の疑いが晴れると同時に私たちや別の人物が疑われてしまいます。


けれどこれは先程も申したように完全犯罪。
私たちやイオが疑われることはまずありません。





だって青酸カリは、イオが自ら飲んだのですもの。





私たちはそれを止めました。
けれどイオは頑としてそれを受け入れることは無かったのです。

なので胃を洗浄させる時は必死でした。

イオが命を落とす危険性もあったのですから。


イオが倒れ手先が痙攣しているのを見た瞬間、私は本当に怖くなりました。
致死量には値しない青酸カリでも、死んでしまうことはある。




イオが死んでしまうと。




本当に怖くて仕方なかったのです。





けれど今は体にも異常は無く、病院のベッドで休んでいます。





取り敢えずはこれで一件落着。



イオは命を張って懸高氏の呪縛から逃れられたのです。
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