猫とうさぎとアリスと女王
ⅩⅡハートの女王の証言
美味なる茶を持ち、主客と共に楽しみ、心を通い合わせる。
それが茶の道というものなのだよ。
亡くなられた曾お爺様が言っていた言葉。
耳に蛸ができるほど言い聞かされた言葉。
私は茶の道を通し、人々に喜びを伝えられたらいいと思っていた。
だって曾お爺様は毎日楽しそうで、周りにいる人々もいつも笑顔だったから。
私もあんな風に生きられたらと願っていた。
茶道家、西園寺宗輔のひ孫に生まれた私には、この世界でしか生きる術は無かった。
だからこそ茶の道で大成したいと思った。
「紀要香さん、今度の茶会で皆様にお披露目をしようと思っていますから。
心の準備をしておきなさいね。」
まだ心も体も幼かった頃、私はお婆様にそう言われた。
その頃はお披露目の意味も今一理解はしていなかかったから、大して驚きもせずに頷いたのを覚えている。
けれどいざ大勢の前で紹介をされた時、緊張して何も言えなかった。
たくさんの目が私を見ていたのが怖かった。
その頃に出会ったのが懸高奨造、その人だった。
懸高おじ様は私にとても優しくて、幼い私はすぐに懐いた。
その頃の私にとっては茶道界の人は皆怖かったから。
私のことを何か別の生き物を見るような目で見ている。
そんな風に思えて仕方なかった。
けれど懸高おじ様は私を娘のように可愛がってくれたから、とても心が和んだ。
一緒に有名なお寺へ連れて行ってくれたり、京都で茶会が開かれれば案内もしてくれた。
わからないことは教えてくれたし、困ったときは助けてもらった。
おじ様はまるでもう一人のお父様のようだった。
それが茶の道というものなのだよ。
亡くなられた曾お爺様が言っていた言葉。
耳に蛸ができるほど言い聞かされた言葉。
私は茶の道を通し、人々に喜びを伝えられたらいいと思っていた。
だって曾お爺様は毎日楽しそうで、周りにいる人々もいつも笑顔だったから。
私もあんな風に生きられたらと願っていた。
茶道家、西園寺宗輔のひ孫に生まれた私には、この世界でしか生きる術は無かった。
だからこそ茶の道で大成したいと思った。
「紀要香さん、今度の茶会で皆様にお披露目をしようと思っていますから。
心の準備をしておきなさいね。」
まだ心も体も幼かった頃、私はお婆様にそう言われた。
その頃はお披露目の意味も今一理解はしていなかかったから、大して驚きもせずに頷いたのを覚えている。
けれどいざ大勢の前で紹介をされた時、緊張して何も言えなかった。
たくさんの目が私を見ていたのが怖かった。
その頃に出会ったのが懸高奨造、その人だった。
懸高おじ様は私にとても優しくて、幼い私はすぐに懐いた。
その頃の私にとっては茶道界の人は皆怖かったから。
私のことを何か別の生き物を見るような目で見ている。
そんな風に思えて仕方なかった。
けれど懸高おじ様は私を娘のように可愛がってくれたから、とても心が和んだ。
一緒に有名なお寺へ連れて行ってくれたり、京都で茶会が開かれれば案内もしてくれた。
わからないことは教えてくれたし、困ったときは助けてもらった。
おじ様はまるでもう一人のお父様のようだった。