猫とうさぎとアリスと女王
 成長するにつれて私はおじ様を遠ざけるようになった。

中学生になって身長も伸び、胸も膨らみ、女性になる準備が始まる。
その頃に私は周りから“美人だ”とか“綺麗だ”とか言われるようになって、男子から告白されることなんかもあった。

けれど男性というものに余り興味が無かったから、そういう誘いは全部断ってきた。


それにおじ様のせいで、私は男性に嫌悪感を抱くようになっていたから。



体に変化が現れた頃、おじ様はよく私の体を触るようになった。

前は頭を撫でたり、抱きしめたり、手を繋いだりするだけだったのに・・・。


胸や、足や、腰を触るようになった。
その手が物凄く気色悪くて、私は手を振りほどこうとした。

するとおじ様がこう囁いた。
今でも覚えてる。


「紀要香ちゃん、おじさんに逆らっていいのかな?
そんなことしたら紀要香ちゃんのお父さんやお母さんが困るのはわかるよね?」


それを聴いた瞬間に私の体が強ばった。

私も馬鹿じゃない。
その言葉が何を意味するのか、それくらいわかった。

私は抵抗するのをやめた。
抵抗できなかった。


「いい子だね・・・。」


おじ様はそう言って私の首筋を舐めた。



その瞬間初めて、私は死んでしまいたいと思った。
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