猫とうさぎとアリスと女王
 学校の屋上で風に吹かれて遠くを見つめる。
ああ、死んでしまおうか。

私はフェンスに手をかけた。
下を見下ろせば、地面が遠くに見える。

あれに打ち付けられたら痛いのかな?
でもその後すぐに楽になれるよね。
私の死体片付ける人、可哀相だな・・・。
ここから飛び降りたらいっぱい血が出て、掃除とか大変そうだもの。


すると突然肩を叩かれ、私は驚いて振り返った。


「誰かと思えばいつかのお嬢様じゃない。どうされたんです?」


そこにいたのは私よりも幾分背が低い童顔の女の子。
かなり前に一度助けてもらったことがあったのを覚えていた。


「貴方・・・。随分変わったのね。」


外見は勿論、言葉遣いもかなり変わっていたから誰かわからなかった。
けれどこの特徴のある顔。あの子に違いない。


「それは言わないで下さい。私にも色々あったの。」


彼女は苦笑してそうこたえました。




「死のうかと思ってたの。」


彼女は黙って私を見ていました。


「別に私は止めませんけど。飛び降りたらどうです?」


酷い人。
慰めの言葉も無ければ引き止めもしない。

やっぱりこういう学校の人間って心根が腐っているのかしら。

それはおじ様も、そしてきっと私も同じなのだけれど。
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