猫とうさぎとアリスと女王
 マコに助けてもらった時から何年か経ったけれど、また助けてもらっちゃったな・・・。

私は病院のベッドの中、そんなことを考えていた。

あの時から私は何も変ってないんじゃないかと思う。
私も何かマコの力になりたい。





体を起こそうとすると、ベッドに顔を突っ伏して寝ている人がいるのに気付いた。

サボ・・・?否、違う。

トラさんだ。

ふと手を見てみれば私の手をがっしりと握っている。
その姿がなんだか可笑しくて、不意に笑ってしまった。


するとトラさんが顔を上げた。


「御免なさい、起こしちゃった?」


トラさんが顔を真っ赤にして、首を左右に振る。


「い、いやっ!そんな!ってか俺こんなとこで寝ちゃってすいません!」


トラさんが手を挙げた瞬間に、私の手も一緒に挙がる。
だって手を繋いでるような形になってるんだもの。当然。

トラさんはそれにハッと気付き、さらに顔を紅くする。


「うわっ!!!本っっっ当に御免なさい!!!俺、最低だ・・・。」


その感情の起伏が面白くて笑っていると、トラさんは照れたように笑った。


「具合は大丈夫ですか?」

「ええ。痛みも吐き気も無いわ。」


青酸カリを飲むだなんて自分でも無謀なことをしたと思った。
微量でも死ぬ可能性はあるんだから。

でも、それでも私はあの人から解放されたかった。

助けられてばかりじゃ女が廃る。
私だって体を張って何かをしたかった。



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