猫とうさぎとアリスと女王
 「サボは将来なにをしようとか、そういうことは決めているのですか?」


私の不安は言葉になり、サボへと伝わります。


「具体的には決まってねえけど・・・まあやりたいことはあるわな。」


嘘・・・サボまでもが自分の道を見据えていたとは。
驚きです。

シーナは絵描きさんを目指して今もそれに励んでいますし、家を継ぐとてイオもきちんと自分の目標があってのこと。
そしてサボまでもがきちんと夢を持っている。


私には、何もありません。

家を継ぐ?それは絶対に厭です。
私は死んでも家業を継ぐつもりはありません。

私はただ生きて、可愛い物に囲まれ、ロリヰタファッションに身を包めればいいと思っていました。

けれどそれではいけない。
現実をつきつけられ、私はどうしたらいいのかわからなくなりました。
不安が私の胸を襲います。


「マコ・・・俺ちょっと便所行ってくるわ。」


なんだか声色がいつもと違うと思い、私はサボを見ました。
するとその手が目に入ります。

サボの手は、小刻みに震えていました。



サボが出て行くのと同時にシーナとイオが研究室に入ってきました。


「ごめんね、マコ。あれ?サボは?」

「・・・お手洗いだそうです。」


シーナはそう、と小さく返事をしただけでした。



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