こころの展覧会
第一話『紫陽花-前編-』
「あなたは…――
自分の心を見たことが あるだろうか?」
ほとんどの人間が
「いいえ」と答えるだろう。
では…、
「心の中にある
闇の存在を
意識したことが
あるだろうか?」
闇…それは、
常にすぐ傍に在り、付き纏う存在。
人は誰しもその存在を否定し、気づかないフリをしている。
綺麗ではないモノを、隠そうとする。
綺麗な人間だと、他人に見せたいのだから。
闇は確かにそこに在るのに。どんな人間でも、必ず持っているのに。
気づこうとしなければ、気づけない。
闇は時に毒性を伴う。
それは身体中をめぐり、
身体の一部ずつを殺していく。
そして、最後には自己を見失ってしまう……