こころの展覧会

「わかった。話そうじゃないか。それから決めるがいい。ここに居続けるか。それとも出ていくか」

「わかりました」


それから二人は、椿姫の部屋へと移動した。

椿姫は障子戸を閉めると、箪笥の引き出しの奥から、ピンク色の冊子を取り出し、それを藍に渡した。

「母子健康手帳……?」

そこには、母の氏名欄に椿姫の名があった。子の氏名は入っていない。交付年月日は4年ほど前の日付だった。

 

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