こころの展覧会

肌は白く、唇は紅を塗ったように赤く、くせのない艶やかな黒髪は、彼女が動く度にサラサラと流れるように動く。
長いまつげに縁取られた瞳は、右が薄めの茶色、左が影のある緑色。
その美しい容貌からは、冷たそうな印象を与える。

周りは彼女を見ると、一瞬驚きの表情をする。そして、神秘的で影のある緑の瞳に見つめられたら、動くことはできない。
悪い噂のせいか、彼女の瞳のせいか、誰もが彼女と目を合わそうとしなくなった。彼女自身も、人と目を合わそうとはしなくなった。

だが、葵だけは違った。いつも椿姫の目を見て話すのだ。楽しそうに。

「俺は歓迎するのに」

「葵以外が歓迎などしないだろ?」

「どの噂もデマなんだろ?つまんない噂ばかりじゃないか。それに、俺はその瞳綺麗だと思うし、好きだけどな。椿姫自身は、その瞳嫌ってんの?」
 

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