こころの展覧会

「…………」

「嫌ってなんかいないだろ?親から受け継いだ大事なもんだ。胸張れよ。自分を卑下するな。せっかく美人なんだからさ」

ニッと笑う葵。
見透かすように言われた椿姫は、言葉が出てこなかった。

嫌いじゃない。
この瞳は大好きな両親から受け継いだものだ。

そうして簡単に、葵は椿姫の心の扉を開けていく。

二人で過ごす時間が増えていく。
全てに閉鎖的だった椿姫の世界は、あっという間に広がった。
休日も時間をともにした。公園で何時間も話しながら絵を描いたり、動物園や水族館、山や海、葵は椿姫をいろんな場所に連れていった。



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