こころの展覧会
ある日の夕方。
いつものように何時間も公園で話して、帰るために椿姫が立ち上がった。葵は座ったまま、

「椿姫」

と、彼女の名を呼んだ。
椿姫が葵を見る。
葵は立ち上がって、椿姫を見た。
葵と椿姫の目が合う。
視線が真っ直ぐにぶつかった。
眼差しの糸は、まるで示し合わせたかのように、しっくりと絡まり合う。

「椿姫」

「なに?」

「俺は椿姫が好きだ。俺と付き合わないか?」

葵の顔は、真っ赤に染まっていた。いつもの余裕のある笑みは、そこにはなかった。
椿姫はただ「うん」と答えた。

二人が深い仲になるのに、時間はかからなかった。

椿姫が家庭内暴力を受けているのを知ったとき、葵は椿姫に一人の女性を紹介した。

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