こころの展覧会
その女性は、子供たちに絵を教える先生をしていた。そして、女性・三島雪(ミシマ セツ)はすぐに椿姫を養子として引き取った。
底抜けの程人のいい葵や雪、雪の教え子たちに囲まれて、椿姫は長年受けた傷を癒していった。
椿姫が高三になった四月、二人が出会って二年が経った頃、椿姫の妊娠が発覚した。
葵も雪も喜んだ。
椿姫は退学を決断した。
全てが順調にいっているように思えた。
親同士が決めた葵の許嫁・牡丹が留学先から帰国してくるまでは。
牡丹は椿姫に中絶するようにと、何度も何度も椿姫の前に迫った。葵の父親までもが、多額の手切れ金とともに話をつけにきた。
葵は必ず説得するからと言ったが、次第に連絡がつかなくなっていった。