こころの展覧会
椿姫は数日間、泣き続けた。
眠れる日はなかった。
泣いて、泣いて、泣いて、泣き足りたいのに、涙が出てこなくなった。
そのまま、抜け殻のようになってしまった。
喋ることも、見ることも、聞くことも、全てを止めてしまっていた。
数日後。
お見舞いに訪れた葵と葵の父親を、柊と皐月が追い返した。
微かに聞こえた葵の声。
電話が鳴ってる。
椿姫の頭の中はぐちゃぐちゃになっていた。
牡丹の声がどこからか聞こえてくるのだった。
『葵くんは私のモノだから返してもらうよ』
『人のモノ取ろうとするなんて、最低。あなたも、あなたの中にいる子も。絶対返してもらうから』
『中絶しなさいよ。その方があなたの為なんだから。生んだとしても、その子は誰からも祝福されない。あなたのせいでね』
『幸せになるなんて許さない』
『葵くんに会いたい?』
何度も、何度も、頭の中でその声はリプレイされた。