こころの展覧会

言葉には力が宿る。
力が宿った言葉は、刃と化し、葵の心を突き刺した。そして、椿姫が放った刃は、今も葵の胸に深く突き刺さったままなのだ。

そして、椿姫は自分の心にも刃を突き刺したのだ。

「…やっぱり……椿姫さんは人殺しじゃなかったじゃないですか」

「しかし、止める者が居なければ、確実に殺していた!!それに、人一人の人生を狂わせたのは事実なんだっ!!!!」

椿姫は怒鳴った。

「でもっ…」

「何も聞きたくないっ!!!!何も聞きたくないんだっ……出てってくれ……っ」

椿姫は手元のお面を、藍の足下に投げつけた。藍は唇を引き結んで、椿姫の部屋を出た。

あまりにも椿姫の表情が痛々しかったから。
自分を責め続けてるその心が、伝わってきた。

藍は自分の部屋にこもった。
あの時、何を言えばよかったのだろうかと、考え続けていた。
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