こころの展覧会
「大丈夫ですよ」という言葉を何度も繰り返された椿姫は、またぼそりと言った。
「本当は…後悔してるんだ……もう憎んでなんかない……今すぐには無理だが……償いをする……」
「はい、僕は信じて待ちますよ」
藍は力強く言った。
心は安心する気持ちと嬉しさでいっぱいになっていく。
今腕の中にいる人が幸せになれる日まで側にいようと、固く決意をした。
この時、藍は思った。
「後悔」とは自分自身に負けてしまうことで生まれてくる感情なんじゃないかと。そして人間は自身をなくしていく。
必要なことは、自分の弱さにうち勝つことなのだと。
☆
椿姫が藍に気持ちを吐露してから、椿姫はうなされなくなった。そして、外出する日が増えた。失ったモノを取り戻そうとしているかのように見えた。
狂った時を刻み続けていた時計が、やっと正常の時を刻み始めたかのように。