こころの展覧会

その枕元には、分厚い本が何冊も転がっている。

「また夜遅くまで本を読んでたんですね」

言いながら、藍はせっせと布団をたたみ始めた。

「秋の夜は、ゆっくり読めるんだ。読書にふけりたいんだ」

言って、椿姫はちいさなあくびをした。かなり眠そうである。
藍は布団をたたみ終わると、本を整頓し始める。長編小説ばかりである。これでは、まだしばらく眠そうな顔を見続けるんだろうなと、藍は思った。



その日の昼過ぎ。
コーヒーを淹れた藍は、縁側へ向かう。

その時、ちょうど縁側に腰を下ろした椿姫に、猫がじゃれついた。椿姫は嫌がりもせず、頭や背を撫でてやる。淡い笑みをたたえた唇。細められた目。
こんなにも優しく笑う椿姫を藍は初めて見た気がした。

「猫好きなんですか?」

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