こころの展覧会

ずっと手をつないでてくれた。
特別扱いされるのが、すごく嬉しかった。

藍はおでこに感触を感じた。

―――誰…?

「…おかあさ…」

「え…?」

藍は、自分のおでこに手を当てている椿姫と目があった。

「ひどいなら、ひどいって言いなさいっ」

椿姫は大きなため息をついた。
藍は自分の枕が、氷枕になっていることに気づいた。枕元にはポカリスエットと薬。

「ありがとうございます……」

「何かほかにしてほしいことはないか?」

「……手を……つないでいてください」

「わかった」

椿姫は藍の手を握った。
優しく包み込むように。
藍はそのまますーっと眠りにつくことができた。
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