こころの展覧会
「私が来るのをわかってたみたいな対応ですね。それに、私をそんなに簡単に案内していいんですか?」
椿姫は渡部をまっすぐに見据えた。
四年前、椿姫は葵を殺そうとした。その現場に渡部もいたのだ。そして、椿姫を止めたのも渡部であり、傷を負った。
「あなたの事を心配した方から、ご連絡をいただきました。その時、今のあなたなら大丈夫だと、確信しました」
「誰から聞いたのですか?」
「それはご内密にというお約束なのですが、あなたならもう感づかれてるのではないですか?」
「そうですね……予想はつきますが、どういうつながりなのかがわかりません」
「それはご本人に聞かれるのが、一番いいでしょう。人目につきます。牡丹様や他の家の者に気づかれる前に、お急ぎください」
椿姫は渡部の後に続いた。
案内されたのは、庭がよく見える部屋だった。置かれている物はほとんどなく、壁際に花が飾られているぐらいだ。