こころの展覧会
「あの女が現れて、連絡がつかなくなって、裏切られたと思った。先生や子供までいなくなって、悲しくて、苦しくて、何かを恨まなきゃ自分を保てなかった。許せないって気持ちもあったけど、本当に葵を愛してたんだ。そのことにやっと気づけた。だから、葵が生きてくれててよかったって、今はそう素直に思えるんだ。なぁ、葵。桜の木の前でした約束、覚えてるか」
椿姫は、一旦そこで区切った。そうして一拍おいて、また語り始める。
「【私は葵だけのモノ。葵は私だけのモノ】私は葵に依存してた。だから、その約束がなければ不安だった。どんなに触れ合っても、離れているときに不安は襲ってきた。今思えば、視野が狭かったと思うよ。子供だった。でも」
「…どんな時も本気だったんだ。葵は闇の中から、私を引っ張りあげてくれた。何もかも信じれなかった私に、いろんな感情をくれた。いつでも葵の存在に救われてた」