こころの展覧会
「葵、ありがとう。それと…ごめんなさい……」
今は悲しいだけのつながり。
苦しいだけの絆。
まるで呪いのよう。
椿姫の目から涙が流れる。
「私は…葵に幸せになってほしいんだ……許してほしいなんて思わない……けど…償いは、必ずするから…ごめんなさい……」
「……つばき……」
葵の目に、微かに光が宿った。葵の目が椿姫を見る。視線が絡まる。
「葵っ!??」
「…償いなんて……いらないんだ…許しを乞うのは…俺の方だ……ごめん……肝心なときに何もできない俺でごめん…」
その声は掠れていて、所々聞き取るのが難しかった。
「私はここに許しにきたんだ…」
「そうか……よかった、よかった……」
葵は涙を流しながら、何回も繰り返した。
「葵、どうか、幸せになって……私は、葵の幸せを心から祈るから……」
椿姫は穏やかに笑った。
そこに冷たさの欠片は一片もない。
雪は解け始めたのだ。
長い冬は終わったのだ。