こころの展覧会
「できるさ」
椿姫は事も無げに答えた。
気休めなどではない。
真っ直ぐな瞳が、藍を映して輝く。
「だから、絵を描け。お前は光を描くことができる」
驚くほど透き通った眼差しで、椿姫はそう言い放った。
藍はその視線から逃げない。
否、逃げられない。
捕らえられる。
精神をわしづかみにされたかのように。
藍は無言で両方の拳を握り締めた。
椿姫の言葉には、力が宿っていた。
それは言霊。
抗いがたい魅力を秘めた響き。力。
血が騒ぎだすような感覚。
理性や思考などよりも早く。
この身が、血が、ざわめき出す。
「僕も旅に連れてってください」
「約束だ。忘れるなよ」