こころの展覧会
「でも椿姫さんにとって皐月さんは、特別だったんじゃないですか?だって、自殺未遂後の面会許されてましたし…」
「そうね。でもそれは、あたしが特別だったからじゃないわ」
「どういうことですか?」
「私はただ甘やかしてただけ。悲しみに押しつぶされそうだった姫を見ていられなくて、何でもしたわ。姫のわがままは、縋ってくれてるみたいで嬉しかった。あたしだけ特別に思えて」
「…………」
「でも、あたしじゃだめだったみたい。姫が本当に必要としてたのは、“縋る為の優しさ”じゃなかった」
皐月は目を伏せた。
口許にうっすらと、笑みを残して。