こころの展覧会

「ありがとう」

藍は女子から栞を受け取った。

「麻生くん、花とか好きなの?」

「いや…これは、大事な人からもらったものなんだ」

「そっか。白詰め草の花言葉って【幸運】だもんね」

言って、その女子は笑った。

「【幸運】……なるほど……ありがとう」

藍はその時、やっとわかったのだ。

白詰め草は、幸運のお守りのようなモノだったのだと。幸せのバトンなのだと。

椿姫は藍の幸せを願ったのだ。
それを知って、嬉しくなった。

そして祈った。
椿姫が、今幸せであることを。そして、この先幸せに満ちて生きることを。
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