こころの展覧会
――決めてもいいのだろうか。
自分で選んでもいいのだろうか。
本当に……?
もしも自分の望みが本当になるのなら…
「此処に居させてくださいっ…!!!」
藍は握った拳に力を入れ、女性を見据えて、答えた。
「それが本当に自分の意志か?」
「はい。居させていただけるなら、なんでもします」
藍は、はっきりと言い切った。
「いいだろう。好きなだけ此処に居ればいい」
女性の艶やかな紅い唇の口端が、緩くつり上げられた。
「ありがとうございますっ!!」
藍は一礼して、お礼を言った。
「そういえば、まだ名前を聞いていなかったな」
「麻生藍です」
「私の名前は椿姫(ツバキ)だ」
そう名乗って、椿姫は手に持っていた扇をくるりと回した。
「皐月、藍の家にうまく連絡しといてくれ」
「……わかったわ」
皐月は無表情のまま、居間から出ていった。