こころの展覧会


ーーー少しだけ怖いと感じてしまうのだ。
あの高圧的な言葉に。
似ていないのに、父親を重ねてしまいそうになるのだった。
用件しか言わないあの父親に。

昨日会ったばかりの人を。

そして思い返す。
昨日言われた言葉を。

僕の命を欲しいと言った人。
あの言葉は気まぐれだったのかもしれない。
もしそうだとしたら、僕はまた居場所を失うんだろうか。
必要とされなくなってしまったら、僕の居場所はなくなってしまう。
そうしたら、僕は…



そうしたら死ねばいい。
簡単じゃないか。
今、すぐに答えが出てこなかった。
それどころから、必要とされなくなることを怖いと思ってしまった。
何故だろうか。
昨日会ったばかりの人に、なにを期待しているんだろうか。

それに紫陽花に似ていると言われたあの言葉も、気になっていた。

考えるのを止めよう。
考えてしまえば、嫌なことを思い出してしまうから。



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