こころの展覧会
それさえも、描くことで忘れようてしていた。
でも、父親の存在があった。
期待に応えようとか、誉められたいとか、認められたいとか、そんな気持ちが大きくなりすぎて、重すぎて、心を壊していった。
自分の好き放題に描けば、それは理解されず、受け入れられることはなかった。ただ否定されてしまうだけ。
だからだ。
溢れてくるイメージも感情も殺した。
賞をとるために、強要された普遍的な描き方で描き続けた。
そんな痛みからも逃れようと、感情を無くすことした。他人と距離を置き、どんなことにも興味を持たず、ただ時の過ぎるのを待った。
賞を取るほど、つまらない絵になっていった。
絵は期待に応えるためのモノになっていた。
絵を通してでしか存在価値を見いだせなくなくなった。
そして、気づかないうちに壊れた心。絵を描こうとすると、手が震えるようになってしまったのだ。