こころの展覧会
「それに…几帳面で、優しい子」

柊は笑顔を崩さず、藍を観察するように眺めた。

「えっ…あの……」

言われた言葉に、藍は戸惑った。

「ごめんなさいね。人を観察するの趣味なの。仕事柄からかもね」

「職業は何を?」

「占い師よ。“シュウ”っていう名前でやってるの」

「…えっ!?」

藍は驚きのあまり、声を漏らしてしまっていた。

“柊”と書いて、“シュウ”と読む。テレビにでているほどの人気占い師を、藍も知っていた。雑誌にも載っていて、この若さで自分の店を持つほどの実力を持った人。

藍の驚きの表情を見た柊の小さな唇から、くすくすと笑い声が洩れた。

「男の子なのに知ってくれてるなんて、嬉しいわ。どう?ここでの生活は。何か困ったことはない?」

「いえ……今のところ特にないです」

言って、藍は背筋を先程より伸ばした。

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