こころの展覧会
8月。
ようやく梅雨明けして、夏がやってきた。暗雲を見ることは少なくなり、日差しの強い太陽と、真っ青な空の見える日が続いた。
藍はまだ、絵を描くことができずにいた。暇な時間があればスケッチブックを開いたが、やはり手が震えてしまうのだった。そうして無理矢理描いた絵を、完成すると同時に引き裂いていき、スケッチブックの厚さはどんどん薄くなっていった。
そして、今もあの問いに答えられずにいる自分が悔しかった。
―――何の為に絵を描くのか?
描いても、描いても、答えはわからなかった。どんどんわからなくなるような気さえした。
早朝。
まだ風が涼しいと感じる時間帯。
庭の花々に水を与えていた藍は、大きな白い花の蕾を見つけた。朝顔に似ているが、幾分か大きい花の咲いているところを、まだ一度も見たことがなかった。
ようやく梅雨明けして、夏がやってきた。暗雲を見ることは少なくなり、日差しの強い太陽と、真っ青な空の見える日が続いた。
藍はまだ、絵を描くことができずにいた。暇な時間があればスケッチブックを開いたが、やはり手が震えてしまうのだった。そうして無理矢理描いた絵を、完成すると同時に引き裂いていき、スケッチブックの厚さはどんどん薄くなっていった。
そして、今もあの問いに答えられずにいる自分が悔しかった。
―――何の為に絵を描くのか?
描いても、描いても、答えはわからなかった。どんどんわからなくなるような気さえした。
早朝。
まだ風が涼しいと感じる時間帯。
庭の花々に水を与えていた藍は、大きな白い花の蕾を見つけた。朝顔に似ているが、幾分か大きい花の咲いているところを、まだ一度も見たことがなかった。