こころの展覧会
「許せない……あいつらだけはっ…………あの子を……殺した……殺してやる……」

「………」

柔らかい朝日に照らされた、その形相は恐ろしいものだった。
だが、必死に訴えるようでも、自分に言い聞かせているようでもあるその口調は、いまにも泣きそうでもあった。

椿姫の呼吸は荒く、息がうまく吸えていない。

「殺さないと…いけないんですか」

藍は、そうつぶやいていた。

「どうしても、しないといけないんですか……」

「………」

腕を掴む力が、ふと、緩む。

「……そうだ……憎い」

「どうして……」

「どうしても……だ」

目は開いているのに、表情は虚ろだった。はっきり起きているとは思えない。
藍は痛む腕をゆっくりと動かし、椿姫の背中を軽く叩く。

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