こころの展覧会
「……大丈夫です」

内緒話をするように、藍はひっそりと語りかける。

「大丈夫ですよ。……ここにはあなたの敵はいません。あなたの味方ばかりです。苦しむことなく、ゆっくり休んでください」

椿姫は、静かな呼吸を取り戻していった。

「……そうか」

「はい。大丈夫ですよ」

「眠りたいんだ……」

「眠れますよ」

背中をゆっくりと、優しく、同じテンポで叩きながら、藍は小さく、歌を歌い始めた。
椿姫の肩から、残っていた強張りが解けていく。

――何をそんなに憎んでしまってるんですか?

椿姫は最近うなされることが多く、ゆっくりと眠れることがなかった。

藍にはわからないことばかりだった。理由を問うこともできなかった。
そして、毎朝のように歌を歌った。

歌っているうちに、椿姫は寝入ってしまった。藍は慎重に、椿姫を布団に横たえる。

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