こころの展覧会
9時頃。
玄関前に集合した藍、椿姫、皐月、木蓮、柊、松詠の6人は、お墓参りへと向かうことになっていた。
「藍くんは初めてだよね?彼は、金森松詠(カナモリ ショウエイ)。すぐ近くにある弓道道場で弓技を指導しているのよ。今は他県で修行中の身ってところかな」
柊によって紹介されたのは、仏頂面で、やけに背の高い筋肉質の男。無言で握手を求めてきた男の手を、藍は握った。手もやはり藍より幾分か大きい。
「麻生藍です。よろしくお願いします」
そう言った藍に、返事はいつまでも返ってはこなかった。仏頂面で目つきが鋭い松詠に見られたまま、藍はおろおろしてしまう。
それを見ていた柊の唇から、小さな笑いが洩れる。
「大丈夫よ、藍くん。これが松詠の普通だからね」
その優しい言葉に、藍は胸をなでおろした。
そして、藍は仏頂面な表情がもう一つあることに気づいた。